骨を歌う人(2)

 人間が病気や事故等で骨の一部を欠損した場合、しばらく前までは自分の体のどこか他の部位から削り取ってくるか、他人の骨から頂いてくるかして欠損部を埋めることをしてきたのですが、現在は人工の材料を埋め込んでやることが出来るようになっています。CTスキャンで欠損部の形状を把握し、それを基に鋳型を作って、オーダーメイドの代替骨を作ることも試みられています。単なる代替だけではなく、骨に近い多孔構造を人工のアパタイトセラミックスで作り、そこで骨の細胞を培養し成長させて、周囲の骨と結合させ治癒させるというものです。足場となった人工のセラミックスは、治癒とともに溶解して完全に人間の骨と置き換わるのが理想ですが。
 そうなると、ホラホラ、これが僕の骨・・・と言っても、どこまでが自分の体なのか分からなくなってしまいそうで。 (この項続く)