2012-01-01から1年間の記事一覧

なぜヒトは旅をするのか

榎本知郎「なぜヒトは旅をするのか」化学同人・同人選書 非常に魅力的なタイトルに惹かれて読みました。「ヒト」ですから、生物学、人類学上の「人間」ということです。この本の問題提起自体が非常に面白かった。霊長類の中で旅をするのはヒトだけであること…

木を植える人

「木を植えた人」という絵本があって、確か南フランスのあたりで荒れ地になってしまった場所に木を植え続ける男の話だったと思いますが(手元にないのではっきりしません)、静かで割合感動的な話だったように思います。日本でも宮沢賢治の「虔十公園林」とい…

アソーレス紀(2)

アソーレスに元々行きたかった理由は、イタリアのアントニオ・タブッキがこの島々を題材にした作品を出していて、前々から気にかかっていたから。「島とクジラと女をめぐる断片」(須賀敦子訳)。 1970年代はじめに航空機が初めて就航した?、あるいは空港が新…

アソーレス紀(1)

この夏、ポルトガルの西海上にあるアソーレスという島(群島)を訪ねました。アゾレスと表記されることも多いのですが、濁らない響きの方が感じが良いと思っています。 アメリカ東海岸とヨーロッパ大陸とのちょうど中間にあり、ヨーロッパの西の果てになると思…

ヨーロッパの自転車レース

フランス、イタリア、スペイン等の自転車のロードレースを、時々テレビで見ています。自転車レースそのものに特に知識や興味があるわけではなく、コースに映し出される各地の何でもない田舎の風景が良い感じに思えるからです。緩やかな麦畑の中に点在する小…

テルマエ・ロマエ再び

イタリア・フィレンツェに近い(ローカル鉄道で1時間ほど)モンテカチーニ・テルメという街に何日か滞在しました。いわゆる温泉保養地で、街の中に何カ所か「温泉」があります。日本のものとは異なり、基本的には飲用、プール式に入ることも出来るようです。…

新藤兼人さんと「裸の島」

映画監督の新藤兼人さんが亡くなりましたが、その「裸の島」という作品について思い出したことがあります。 私は実際にはこの映画を見たことはありません。ただ公開当時、ポスターを見た覚えがあります。とても地味な(人づてに聞いてですが)内容の作品という…

猫の恋

先日、新聞にこんな句が載っていて笑ってしまいました。 我が猫の 恋の相手に 落胆す どなたの句だったのか分かりませんが、我が家でも、飲み会の集まりでもひとしきり盛り上がりました。なんと親ばか、猫ばかというべきか。しかしよく分かります。我が家の…

幸福の国

GNPよりも幸福度を目指すということでよく取り上げられるようになっているブータン。十年ほど前、主要道路も整備され始めたころに訪ねたことがあります。個人旅行は許可されていず、必ずガイドをつける必要があり(実際問題、それなしではまず無理)ましたが、…

帰林鳥語

日の沈む直前、五階建ての銀行のビルの屋上に、ムクドリがたくさん降りてきているのが見えます。その数はあとからあとから増えてゆきます。向かいの高いビルから見下ろして見ているので、鳴き交わす声は聞こえませんが、相当にぎやかなことと思われます。一…

マンガの受容

バルセロナで「セーラームーン」の看板を見たのはもうずいぶん前のことだし、「クレヨンしんちゃん」のTシャツをやはりスペインの小さな男の子が着ているのを見たのも同じ頃でした。こんなところまでと驚いたのがウソのようで、現在ではヨーロッパで出会う…