猫の恋
先日、新聞にこんな句が載っていて笑ってしまいました。
我が猫の 恋の相手に 落胆す
どなたの句だったのか分かりませんが、我が家でも、飲み会の集まりでもひとしきり盛り上がりました。なんと親ばか、猫ばかというべきか。しかしよく分かります。我が家の猫は去勢オスですが、時々近所の雌猫を追いかけに行って、逃げられて戻ってきたりすると、
「なんだ、振られたのか。」
と言ってみたりしますから。まあ、猫にとっては人間の美醜の判断とは別の価値観?があるのでしょうけれど。
振られて帰ってくると、猫もなんだか落ち込んでいるようにも見えます。きまり悪げに布団をかぶって寝ていたりと。日高敏隆さんのエッセイに、食器棚へジャンプしようとして足を滑らせ、下へ落ちてしまった猫のことがありました。その猫は落ち込んで恥ずかしそうに顔をそむけ、そそくさと立ち去ったとあります。
猫の恋からは離れますが、こんな話を覚えています。寺で飼われていた老猫が、うたた寝をしていて縁から下に落ち、「ほい、しまった。」と人間の言葉で言ったというのです。たまたま通りかかった和尚にそれを聞かれ、その猫は寺からいなくなったという話で、何だか茫洋とした春のさなかにはあるような話に思えてきます。
もう一句、
猫の妻 昨日の恋の 名残り見せ 綿利信子