新藤兼人さんと「裸の島」

 映画監督の新藤兼人さんが亡くなりましたが、その「裸の島」という作品について思い出したことがあります。
 私は実際にはこの映画を見たことはありません。ただ公開当時、ポスターを見た覚えがあります。とても地味な(人づてに聞いてですが)内容の作品ということですが、昨年、フランスのブザンソンに行ったとき、当地のフランス人の一人が、この映画が非常に良かったという話をしたことを思い出しました。そのときは、どうして、日本でもそれほど知られていないこの作品をと、意外に感じました。そのフランス人は柔道をやる人で、日本へも度々来ています。「ネマワシ」などという言葉もよく知っています。
 一般にフランス人の映画好きなことは想像以上で、古い映画(外国のものも含め)も繰り返し街の映画館にかかっています。それを若い人が結構見ている印象です。そう言えばブザンソンは映画を初めて作ったとされるルノワール兄弟の生まれたところでもありました。こんなところにも新藤さんの作品を評価してくれる人がいるというのは、すばらしく幸福なことだと思った次第です。