歩く速さ(4)

 ところで昔の人は随分速く歩いたような印象がありますが、どうだったのでしょうか。弥次さんと喜多さんは寄り道もしながらのんびりと旅しているようですが、結構速く歩いているのではないかな。

 島崎藤村の「夜明け前」の主人公達も馬籠あたりから江戸や京都へとかなりの頻度で歩いています。読んだ印象だとやはり速や歩きに思えます。
 ただ、江戸や京都の町中では、人はそれほど速く歩かなかったかも知れません。街道を行く時とスピードが違ったのではないでしょうか。

 前出の拡散現象においても、結晶中で原子の移動する速さは場所によって変わったりするわけですから。街道に相当するのは、結晶粒界や表面近傍のような、高速拡散路ということになりすか。

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