里の秋

 現在は春の前なのに、急にこのようなタイトルで書きます。
 なぜかというと、エドワード・ホックの遺作となった探偵小説(古めかしいですが、この言葉の方がしっくりくる)シリーズ最後の本、「サム・ホーソンの事件簿Ⅵ」を読んでいたら、主人公の暮らすアメリカの小さな田舎町に、第二次大戦の日本との戦いの様子が遠いニュースとして入ってくる様子が背景に語られていて、このような視点からあの戦争を描いているのは初めて見たから、というのが始まりです。その田舎町の人々が家族や友人を戦地に送り、その安否を気にかけている様子が、事件や探偵の活躍とは別にさりげなく挿入されています。ガダルカナルなどの名前も出てきます。
 ここから、「里の秋」という歌をふと思い出しました。一番と二番の歌詞は大抵の人が知っていると思いますが、田舎で母と子が2人、今は側にいない父親のことを思っているという内容です。なぜ父親がいないのかは、三番の歌詞で分かります。南の島から帰ってくるだろう、無事を祈っている、という内容ですが、多分戦地からでしょう。しかし帰ってはこれなかったのではないかと考えます。三番の歌詞が殆ど歌われないのも、そういう理由ではないでしょうか。
 思いもよらず、こんなことが結びつきました。