パリの公衆浴場

 温泉の話のついでに。
 古いフランス人の友人からこんなことを聞きました。彼ら夫婦が日本に一年間滞在していた1960年代半ば頃、当時すごい勢いで発展していた東京で、古いものと新しいものとが共存している風景に強い印象を受けたこと。東京タワーが出来、新幹線が開通したそのころ、彼らが住んでいた世田谷の住宅地界隈では、人々が浴衣で毎日銭湯へ行く風景が当たり前に見られていたと、懐かしそうに話していました。まだ自宅に風呂を持っていなかったわけです。

 ところでフランスに公衆浴場はあるのか。その友人はパリには一軒だけあると言いました。9区か10区にあるらしいということで、彼も実際に行ったわけではないそうです。公衆浴場と言っても、シャワー室が沢山並んでいるだけで、言ってみればスポーツクラブか何かの施設と変わらないようなものです。どんな人が利用しているのか、ちょっと知りたい気もします。

 彼の娘さん夫婦は数年前日本に旅行に来て、温泉が気に入ったと言っていました。ハンガリーアイスランドで温泉に入ったことがありますが、やはり日本の温泉の情緒は他では代え難いものがあるようです。