ルーブルの地下(2)

 この研究所を訪ねたのは2回目ですが、7、8年ほど以前に比べ、さらに大型の分析機器などが新たに充実して、いかに国が力を入れているかが分かります。前に行ったとき、まだ若い女性の研究員が、持ち込まれたばかりのルノアールの作品のチェックをしていました。真贋の判定をすると言うことで、その結果によっては大変な額の金が動くことになります。研究所の役割はデータを出すところまでで、買うかどうかの判断は国がすることだと笑っていました。真贋や時代の判定、あるいは修復など、時代や国も異なる膨大な数の作品を相手にするのですから、これはいくらでも人が必要になると感じます。ルーブル自体の作品だけでなく、オルセイをはじめフランス各地の美術館の作品の鑑定、修復も行うとのことでした。

 ルーブルと直接関係はありませんが、美術館近くからメトロに乗ったとき、一人の男が乗り込んできて車両の一番端のスチールポールの間にあっという間に布の幕を張り、その裏から大きな指人形をのぞかせ、音楽に合わせて人形の踊りと芝居を始めました。あっけにとられて見ているとわずか一駅の間のパフォーマンスで、そのあと帽子を手に小銭の喜捨を求めて回っていました。歌を歌ったり楽器を弾いたりするのは良くあるのですが、この手のものは初めて見ました。何事もいろいろ進化するもの・・・。