ブザンソンの秋(2)

 フランスに着いた時、ちょうど例の大規模なストライキの最中で、ドゴール空港からブザンソンまでの夕方のTGVは何とか運行されて幸いでしたが、帰りの列車が前夜になって運行中止ということが分かり、あわてて列車を変更しました。ブザンソンの街でも小規模ながらデモが街を練り歩いていましたが、街の人は慣れているのか大して気にもとめていません。多少冷たい目で見ていたような気もします。それでもサルコジ大統領のやり方に対する批判は至る所で耳にしました。年金改革はやらなければならないことは誰しも分かっていて、それでもこのやり方はね、と言う感じです。
 帰りに着いたパリの駅で、払い戻しの列に黙って延々と並んでいるのを見て、彼らは慣れているのかあきらめているのか分からない気持ちになりました。日本だったら必ず駅員に詰め寄る人が出てきそうなものです。

 ブザンソン周辺はジュラのワインの産地で、その一つのアルポワと言う小さな街を週末に訪ねました。その街のある醸造家が作っているワインビネガーを日本に輸入したいという会社の人がいて、その交渉に同行させてもらったのです。まだ日本に入ったことのない製品で、特定のレストランにしか卸さないと言うことでした。交渉が終わったあとその方の古い家で、この地方のキノコを使った素晴らしい料理とジュラの黄色味を帯びたワインとを味わわせて貰いました。ちなみに料理はそのご主人が作るのだそうです。街の周囲のブドウ畑はすっかり収穫が終わり、黄色い葉ばかりがうねうねと続く丘に張り付いています。