春の行方

 この大災害のさなか、何か書くこともためらわれ、空っぽになった気持ちで日を過ごしています。この春の行方はどうなるのか。猫にでも誰にでも尋ねたい。
 2週間ほどの出来事の中で気になったことを記します。多くの外国人が国外に待避したのは周知のことで、私の周りの留学生たちも同様です。フランス人の学生たちは大使館からの避難勧告があったと言うことで、3月15日頃には名古屋や関西方面へ移動し、その2、3日後には母国へ一時帰国をしています。フランスでの家族の強い意向もあって、戻りにくい状況もあるようです。確かに外国人にとっては日本人よりは情報伝達の遅れがあり得るので、心配するのはもっともです。
 私も海外のある国を旅行中に、地下鉄に乗っていたのですが、ある時車内放送があり、乗客たちがあわててホームに一斉に出て行ったことがありました。こちらは言葉が分からず躊躇して車内に残っていましたが、少し遅れて他の人たちと同様に車外に出ました。どうも爆弾テロの予告があったらしいと後で分かりましたが、もし本当にそういうことが発生して一瞬でも逃げ遅れたら被害に遭っていた可能性があるわけです。
 それを考えると国外への退避勧告もうなずけるのですが、どうも今回のフランスでの反応は過剰ではないかという気がします。フランスでは地震発生数日後に、福島からの放射性物質の拡散をシミュレーションした動画が発表されたようで、私もそれを見ましたが、想定されている放射能の値が桁外れに大きく、とうてい現状のモニターの値とは比べられません。全部が爆発した最悪の事態を計算したのかも知れません。ただ、一般に人はその辺は分かっていないようです。日本からの発信が足りないと言うことかもしれません。